飽和市場の商品であっても、ある事を見つけると、突然大ヒット商品になる

石村

大型を2倍超えして冗長な10連休。その2週間ほど前より、家電量販店で強烈に売り場面積を広げた商品があります。恐らく国内において、今年最大の売り時がGWである、デジカメのひとつでです。

デジカメが世に溢れ、ましてスマホで十分な写真が撮れるにもかかわらず、ハイエンドコンデジ(高性能なコンパクト型デジタルカメラ)や、ミラーレスと呼ばれる、コンパクトよりは大きいが通常の一眼レフよりは小さく、レンズ交換ができるデジカメが引き続きリリースされています。その中で、普通のコンデジはまずまず売れなくなってきたのか、激しい価格競争下にあるが、それでもなお、ハイエンドコンデジとミラーレス一眼はそこそこ売れている。誰もが買う商品ではないが、旅行や子育てをトリガーに欲しくなる商品です。

 

需要飽和している中で、爆発的ヒットの成長中

そしてこの10連休という文字どおり世紀のお祭りを前に、一般層に着実に拡大させたであろうデジカメ。それは、相変わらず日本のお家芸であるハイエンドコンデジやミラーレスではない。この持久戦のデジカメ市場の中で、爆発的なヒットを飛ばしたのがカリフォルニア生まれのGoPro。

大きさはマッチ箱をふたつ重ねたほどで、4Kのビデオと高精細の写真が取れる。小さいから大ヒットかというとそれは違う。防水だからというのも理由ではない。

 

ヒットの理由は「それを使うマーケット」の発見

デジカメ市場におけるニーズの変化

一気に支持を拡大しつつあるのは、使う人買う人であるマーケットが、それまでのデジカメ市場とは大きく異なる点にある。そのマーケットとは動画市場、つまりは「YouTube用」または「YouTube世代」向けである。その「YouTube風」撮影ができるカメラを提供。それがGoProです。逆説的に言えば、おなじユーザーに買わせているが、2台目ではなく別商品として求められている。

この、2個目や買い替えではなく、違う商品であるというのが「市場飽和の商品でも売れる商品」になる条件。

カメラという性能面で言うならば、これまでも同じ事が出来たが、専用特化という意味ではこれまでなかった。その機能とは、手ブレが劇的に抑えられている事と、超広角レンズであるという2点。これまで、他のカメラでもオプションを組み合わせて(※)実現出来たが、この2点に特化した「これだけ専用」はGoProまで存在していなかった。
(※)ミラーレス一眼+広角レンズ+3軸ジンバル

これまでになかった点でいうと、これまではカメラは液晶画面かファインダーを覗いて撮影していたが、GoProは違う。いわゆるウェアラブルなので、身につけてライフログをそのまま撮る事が目的。なお、かつてのカメラや音楽プレイヤーなどと同様に、プロとアマの区分けはなく、プロもアマチュアも同じ製品を買い使う。これが真のヒット商品の裏付けとも言える。

以上のとおり、穴あきバケツに水注ぐほどに、満タン超過で溢れている「デジカメ市場」でも、独占的で圧倒的なヒットを飛ばす事が出来たのは、この「YouTube世代」という変化した市場を見つけ、それ用商品をリリースしたからだと思います。

 

Osmo Pocket の参戦

GoPro はカリフォルニア生まれ、つまりは米国産ですが、これに対して、ドローン界でダントツ一位の中国のDJIが対抗馬をあててきた。それが「Osmo Pocket」。ドローンもYouTube世代のビジュアルメイクに重要なアイテムであるものの、だれでもカンタンにという点で、プロペラを取り外したGoProは市場が圧倒的にデカイ。そう考えると、DJIを真似したGoPro と、そのGoProを真似した DJIという構図になっています。

この Osmo Pocket は、GoProと比較すると、GoProでオプションである手持ち棒(手で握れて、自撮棒や三脚に変身)が一体化されていて、カメラ部分はGoProの電子補正と比べて、機械式の超高性能ジンバルがついていて、まさに、カメラ+ジンバル+手持棒が一体化された商品。唯一広角レンズという点でGoProに水をあけられているが、それを除くと性能はタンドツで、まるでかつてのSONYを感じ取れるのが、DJI 製品の特徴かもしれない。

こちらDJIは、HUAWEI とおなじ中国深圳のメーカーで、ドローン界では他の追従を許さないトップブランドで、広角レンズでない点から、YouTube層の支持がどこかまで取れるか目を見張りますが、少なくとも、対抗馬が出てきたという点はこの「YouTube世代マーケット」の懐の深さが伺えます。

 

飽和市場の商品であっても、新たなニーズを見つけると、性能同一でも異質の商品をリリースできる

かつてはカレーのC&Cやココイチ、あるいは床屋のQBハウス同様に、モノやコトが有り余り溢れていて、メーカーや商人が、売れない売れないとボヤく時代であっても、あらゆるモノゴトには、必ず次にある「ニーズ」が潜んでいる。その「新市場」に気づく事が出来、それ用にちょっと変えた供給(需要側からはちょっとではない)をする事で、いくらでも売れるというGoProの例は、またひとつ「飽和市場での成功事例」の歴史を刻むのではないかと感じます。

PAGE TOP