広告効果が希薄化し価格が高騰するのは当然

石村

 

媒体別広告費市場規模

媒体別の事業費、つまり広告費を見ると電波と紙で2兆円、チラシとDMに交通などのその他リアルが1兆円、ネット広告が1兆円、SNSなどのソーシャルが3,000億円と、リアル、ネット、ネットソーシャルで3分の1ずつで4つのポートフォリオが構成されています。情報の到達デバイスがスマホ優位になっている事から、どんどん右にシフトするのは言うまでもありませんが、受信する画面の面積と生活時間の制約から、それほど大きく変わる事もまたないと考えられますが、一方で情報の量は言うまでもなく激増していて、まだ止まりません。

 

情報過多で起きている消化不良

 

情報量推移

テレビやラジオ、雑誌や新聞のコンテンツそのものを含めた、情報すべてを質量に置き換えた情報センサスという統計(※1)があるのですが、この概念で見ると面白い傾向を掴めます。結論から述べると、この20年でヒトの消費可能情報量を100としたとき、供給される流通情報量は2倍の200以上に達しているという点です。端的に言えば2倍に増えた情報のうち9割はほぼネットの情報と言えます。同一統計では未だ見れませんが、今日時点ではおそらく2.5倍にはなっているはずです。なお平成13年は、Windows95 が普及し始めた頃と言えます。

このような事から、元来の情報単価(広告単価)は2分の1にならなければ割りが合わないのですが、下がるどころか取り合い構造から価格はあがっているのが実態です。従ってヒトコトで言うならば、広宣に依存して商売の切っ掛けフローを作り出すのは、20年前と比較して、よりコスト高である事は当然といえます。20年前どころか、5年前との比較でも大きく違っている実感があるのではないでしょうか。

こうなると、広告主やプロモーターが何をし出すかというと、新しい手法に飛びつきたくなります。また、ITメディア側は、新たな手法がどんどん製造されていますので、現状が苦しければまだブルーオーシャンのそれに頼りたくなるのは当然です。余談でもありませんが、広告手法を生み出す側はそれがドル箱になるので、こうしてどんどん新しい媒体が産み出され、さらに広告効果の希薄化、費用対効果の悪化に輪をかけています。

 

考えるべき事、すべき対処

ターゲット別媒体接触の違い

そもそもは、ヒトの活動時間は睡眠を除き1日18時間、これは変わりません。強いて言うならば人口の数が掛け合わされて、情報の単位供給価値が決まりますが、国内では少しづつ人口が減に転じていますので、全体でいうなら消化能力は減少です。正確に言うと人口の数ではなく、高齢側の数が増え、若齢側が減っているわけです。まずはこれを肝に命じる必要がありますが、スマホネイティブがどんどん増えていく事もまた事実ですので、ネットへのシフトは否めないと感じます。

では、何に気づくべきか、それは、売ろうとしている商品、サービス、企業のペルソナが誰かです。冒頭に書いたポートフォリオですが、増える人口の高齢側は、いくらネットリテラシーがあがろうとも、加齢による老眼やめんどうくさがりから、ひきつづきテレビや新聞からはそうそう離れません。これは人間としての普遍ですので、ネット社会の進み具合とは関係ないでしょう。ラジオで成果を挙げている企業を見ても、高齢や車社会の地方ほど、目より耳に訴えて正解と言えます。逆にデジタルネイティブ世代やオフィスワークのペルソナであればPC媒体、PCコンテンツがセンターになり、スマホネイティブの世代がペルソナならば、スマホ媒体、スマホコンテンツが当然フィットする領域となります。そしてペルソナの行動時間帯と行動場所も考えるべきポイントでしょう。

 

プロダクトとペルソナによって媒体もコンテンツも異なる

以上、考えれば当たり前の話でしかありませんが、当社のクライアントには、ネットがマーケの神様という神話を信じて止まない企業も少なくありませんし、事実としてリアルからネットへのシフトは社会的な変化です。とはいえ、なんでもかんでも全部ネットに依存するのは今日のアジェンダのとおり、希薄化覚悟のうえという事を忘れずに、逆にフィットさせる部分を精緻に探し出すのがリーズナブルな回答だと思います。

 

広告に依存しない事がベスト

宣伝広告という新規の集客。これは古今東西変わらず必要なアクションではありますし、必須と言えますが、著名な「1:5」の法則のとおり、既存のリピートは新規獲得のエネルギー量の20%ですので、経済効果では50%オフのキャンペーンを行ってもまだ余ります。つまり避けられない広宣を少しづつ減らしていく事を目的として、そのために既存顧客のLTVをあげる(正確には関係値強化)ほうにコストを含めたエネルギーを強めていくのが良いと思います。

 

 

出典元(※1)情報通信政策研究所調査研究部(H.23)

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