モバイルファーストはレスポンシブ対応だけでは終わらない

関口

インターネットの端末別利用状況

近年の消費者の利用デバイスの変化により個人のインターネット利用は、スマートフォンが59%(※1)を占め、PCを上回りました。事業者はECサイトのスマートフォン対応が当たり前になり、Googleが提唱するモバイルファーストに対応する目的から事業者も制作会社も「レスポンシブ対応のECサイトを構築したい」とよくご相談をいただきますが、最近ここに違和感を感じています。

レスポンシブデザインを採用する企業が増えてきている中、ECでは、スマホユーザーの買いやすさを追求して採用したというよりも、「PC、スマホ2つのサイト管理をしたくない」「スマホ対策もできるから一石二鳥」という点が目的化している事業者が増えてしまっている印象を受けます。

 

レスポンシブなのに消費者はピンチアウトをしている

消費者それぞれのライフスタイルによってスマホ時間は異なりますが、徹底的に消費者心理を探り、日々UI改善を繰り返している事業者は業界の中でも一握りであるように感じます。現実は事業者側がまだまだスマホシフトできておらず、バナー画像の文字や、商品説明などテキストの級数が小さくて見えず、消費者にピンチアウトさせているECサイトが数多く存在しています。商品ディテールを見るという目的以外で消費者にピンチアウトさせるECサイトはスマホ対応できているとは到底言えないと思います。

これは普段のEC運営業務がPCで行われていることが1つの問題であり、特にBtoCで展開している場合、スマホUIを確認する時間を日々の業務に組み込むことが重要だと考えます。この作業はサイトを改修したときのみ実施するのではなく、日々のルーティーンに組み込む、社内の他部署のスタッフの協力を得てチェックすることで効果を発揮します。

 

メインペルソナの接触時間にモバイルファーストのヒントが

ペルソナのEC接触時間

自社のメインペルソナは、どんなタイミングに、どの媒体で、どのくらいの時間、ECサイトに接触するか想像したことはあるでしょうか。ほとんどのBtoCサイトではスマホアクセスが主になっていることと思いますが、いつでもWEBサイトにアクセスできるスマホ社会だからこそ「何時にサイトを閲覧しているか」を知ることはモバイルファーストを考える上でとても大切です。

例えば、普段ECサイトを運営している事業者のオフィスのほとんどは、蛍光灯などの人工光の下で仕事しています。ところがメインペルソナとなる消費者の購買傾向がお昼のランチタイムだった場合、スマホで見る画面は太陽光の下で見る可能性が高いと言えます。ペルソナのライフスタイルから接触時間を推察すると自然光を考慮した配色、フォントカラーをセレクトすべきであるとか、ランチタイムは比較的ゆっくりスマホを見ることができるからコンテンツは読み物ベースでリッチにした方が良いなど、色々なアイデアが出てきます。

少し極端ではありますが、モバイルファーストはシステムやテクノロジーで作るのではなく消費者と向き合うことで実現できると私たちは考えています。

 

あえてレスポンシブにしないという選択

あるペット用品ECでは、スマホ経由の購入率低下が課題で消費者のスマホシフトへの焦りを感じていました。

そこで、一度消費者と向き合う目的から様々な角度から顧客分析を行い、PCとスマートフォンで消費者の購入商品に違いがあることを発見。レスポンシブでは実現しにくいランキングや人気商品などの細かい出し分けを行うために、意図的にPCサイトとスマートフォンサイトを別々に構築することを選択しました。その結果、消費者ニーズを第一優先で考慮したことで、CVRが25%アップしました。

 

モバイルファーストは消費者を想像して行うことが重要

ペルソナ設定の必要項目

Googleのモバイルファーストインデックスの発表以来、SEOの観点からもレスポンシブは重要視されていますが、SEOや業務効率ばかりに目を向けてしまうとクローラー最適化がされる傍で、最も重要である顧客や消費者というヒューマン最適化の視点が抜けてしまうことを忘れてはいけません。

消費者のライフスタイルが多様化する今、どのデバイスでアクセスした時でも最適な購買体験を提供できるデザインがレスポンシブであるという本質に立ち返ると、ペルソナの概念があってこそECサイトは最適化されると思います。

出典元(※1)平成29年通信利用動向調査の結果(総務省)

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