ネット通販で生き残る条件はピアツーピア(その2)

石村

家庭菜園をやっていると、百聞は一見にしかずで、庭先に種を蒔き、水と太陽に肥料を少々、数週間から数ヶ月で、そこには食べられる食材があります。生産者は自身であり、市場、買付、卸売、流通、小売を飛ばして、その生産者のすぐ前に消費者が居ます。たったこの20年で発生したネット情報社会は、物理的にもこの原理がオンザネット化している状況で、実はインターネット本来のpeer-to-peer, エンドツーエンドの革命は未だ起きていません。その革命本質は、生産者や製造者と消費者がエンドツーエンドになる事、中間が無ければ無いほど性質に矛盾がなくなります。

これは資本主義のルールとリアル社会の名残が、インターネット社会に乗っかっているだけの状態であり、まだインターネット1.0だと言えます。これを基に図示したのが以下です。現在の状態では、まだ小売は中間で頑張っているとしか言えず、ほんとうのインターネットのチカラを使っていません。逆に情報という上流にいるグーグルなどのメディア大手は、インターネットのほんとうのチカラを発揮されないように上流から押さえに来ているといえるのではないでしょうか。

 

両端のどちらかに近いほうが勝者になる

小売の位置付け

上図のとおり、消費者(受益者)と生産&製造者(共益者)のあいだには、これほど沢山の段階がありますが、上流(左)または下流(右)の端に近いほど、間に挟まられる他のそれらを支配できます。例えばアイフォンが市場を席巻すれば、それにのるブラウザはアップル社が決められますし、アンドロイドOS系のスマホが席巻すれば、そこにのるブラウザはグーグル社が支配できます。これがサファリとクロームの戦いです。

さて、我々小売、上流から数えて1番目が消費者自身、2番目がデバイス、3番目がブラウザで、4番目は検索エンジンです。ヤフーがこの検索エンジンポジションで脱落したのは、ブラウザやデバイスを握れなかったからともいえるのではないでしょうか。なお4番目にはメディアもはいるので、ヤフーはそちらを目指した結果となっています(その考察は「広告効果が希薄化し価格が高騰するのは当然」を参照下さい)。

アップルとGoogleの事業領域

さて、この両端のどちらかに近い方が勝者になる件ですが、それを実践しているのが、アップルとアマゾンです。上図をご覧ください。

いずれもデジタル領域なので、どちらかといえば左端を強く押さえています。圧倒的にといえます。そして注目のアマゾンは実は私たち小売と基本原理はなんら変わりません。ところが資本力によって圧倒的に左に寄って行き、それをテコにして右も中間省略をすすめるというのが戦略です。「両端を抑える囲碁戦略で、中間を完全自陣にするアップルとグーグル」「上流を味方につけて、小売から下流パスをどんどん省略化するアマゾン」このふたつは、そっくりそのまま見習うべき重点だと思いませんか。

 

小売のポジションは中間

上流と下流の把握

EC小売を行なっている私たちは、何をどうあがいても、この検索やメディアの後ろにあります。それゆえにSEOや広告といった、グーグルに気配りする事に必死になっている訳です。あるいはSNSに取り上げられたくなる同じ理由です。いずれも上流に支配されているからです。上には逆らえないという事です。下と現していますが、生産者や製造者といった最下流もエンドツーエンドの片端ですので、強さでいうと最上流とはおなじと言えます。下には逆らえなという事です。こんどは下流の順位を下からなぞると、最下位(ここでいう下とは良い意味ですよ)は生産者や製造者で1位、なお原理では原材料メーカーがありますが、商品前なので最下位としていません。なお加工や工場は、執る戦略によって商品メーカーになれます。下から2位が協同組合などの生産や販売の調整者、3位が流通させるはじめの市場で、4位はそこに買い付けに来る卸買商社です。※本題とは逸れますが、生産者や製造者はマーケットとの接点を持たないので(そう決めつけているだけなのだけど)、商社、市場、協同組合という上流に支配され続けます。上図参照。

 

小売はどうやってポジションをあげるか

きょうの本題ですが、この中間ポジションからの脱却が、小売商売を良くするポイントなのは当然です。捉えるべき観点はいくつかありますが、商売原則の観点でいうと、図のとおり実はほとんど多くの中間は、売る事を生業としている事が着目すべき点です。端的に言えば、一段でも下に(図では右に)行くという事です。下に降りるほど原価率が下がるからです。前述でいうと、小売りが一気に下流ポジションをあげる秘策は、何段もある商社や流通をパスして生産者やメーカーと直結する事となります。

もうひとつの観点はネット社会性です。情報の観点からですので上流側、こちらはなるべく上に(図では左に)行く、今いる位置から階段をあがるという事です。アプリはその支持が硬いならばブラウザにも検索にも広告にもメディアにも支配を受けません。ただし簡単に削除されるアプリであるアプリと、総合的な情報入口であり決して消されないブラウザという性質を考えないでアプリ化して大失敗というケースは後を絶たたないので注意が必要です。広告や口コミやインフルエンスからも脱却したい、例えばひとつの方法オウンドメディアですが、これも情報過多の時代で楽勝の方法ではないでしょう(「広告効果が希薄化し価格が高騰するのは当然」を参照)。

では上流からのアプローチはどうしたらよいか、決定打は後述しますが、ここでは、プロデュース方法での対応を提案します。小売はセラープロフェッショナルです。同じ商品でも他と違うプロデュース方法がブランドを築きます。上流の戦いは、すべて情報戦ですので、供給過多の情報と戦うことを避け、需給バランスが需要優位の状況に入り込むプロモートが答えです。同じ缶コーヒーでも朝専用と名打つようにする事です(この例はコト軸という点も秀逸ですね)。

 

左右移動ではなく、ポジション概念自体を壊しにいく

インターネットが持つインフラとしての価値

ほとんどすべての中間が、売る事に躍起になっているという事を考えると、極めてシンプルな必勝法が頭に浮かびます。いわずもがなそれは売らなくても売れる商品を作る事です。売る努力が必要なのは、需給バランスが供給過多のときに起きている訳ですので、需給バランスで需要のほうが高い商品を作り出す事です。プロデュースでです。この観点からいうと、小売はオリジナル商品、しかも供給過多になっていない角度でのプロデュースをする事です。同じ意味でメーカーや生産加工工場などは、じつはこのネット社会において、極めて有為なポジションに居るのに、前時代からの常識にとらわれて中間搾取(?)的な上流に依存しているだけの状況が続いているのが殆どではないでしょうか。

インターネット社会において、小売業者もメーカーも、目指す健全な姿は中間がない状態、これが消費者にも優しく、エコロジーからも最善な回答で、戻れないこのネット社会、エコロジー社会から、一足でも早くこれにシフトする事が良いと私たちは考えています。こうなるのが本当のネット社会。すなわち、インターネット2.0はこれからだと思います。

デフレと人口減の先に、そしてインターネット社会のなかで、それが何時頃かは別として、生産者・製造者がそのまま小売業になり、あるいは小売と生産だけになる日が来ることは間違いないと思います。それを小さな市場で行うのがハンドクラフトなどのタイニーECで、大きな市場で行うのがメーカーEC、そして価値観や世界観を売りにしたセレクトショップという小売専業の3つが生き残って行く姿だと感じてやみません。もちろんアマゾンなどのモールという消費財ECもそこに存続しますが、メーカーや小売がここと戦うのは無理なので、アマゾンはメーカーになるか、衰退するかのどちらか、かも知れません。

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