KIMONO MODERN
神様のいるお店はこちら 大人可愛いシンプル&モダンな普段着キモノのお店
福岡生まれ、アメリカ育ちの着物屋さん
「KIMONO MODERN(キモノモダン)」は、“着物を普段着に”をテーマに、他店にはない気軽に着れて質の良い、オリジナルデザインの着物や帯、浴衣、和小物の専門店。お話を伺ったのは社長の濱田さん。キモノモダンは、濱田さんがカリフォルニアにいらっしゃった2004年にスタートし、その後2010年に地元福岡に拠点を移されたアメリカ生まれの着物屋さん。今やすっかり敷居が高くなってしまった着物を、もっと身近な普段着として取り入れ、気負わず自由に楽しんでもらいたいと、呉服業界の常識にとらわれない独自のセンスとアイデアで、様々な生地やデザインの着物作りに挑戦している。特徴は、シンプルでモダン、異国の香りを感じるのにどこか和風で懐かしい。そんな独特の世界観が、そろそろ着物をはじめたいと考える20代から30代の大人女子から熱い支持を得ている。商品作りのモットーは、自分が着たい、買いたいと思えるものであること。そして、普段着キモノに欠かせない、着心地の良さ、自宅で洗える生地、価値に見合った適正価格を信条とし、みなさんの楽しい着物ライフを後押ししている。福岡市には実店舗もあり、金曜、土曜の営業日にはお客さんで賑わう。
海外で気づいた、自分のなかの「和」への愛
濱田さん:着物や帯の販売は、今から10年程前、私が家族とアメリカに住んでいた時に始めました。自分の中にあった「和」への思いを、「きもの」という形で表現したいと思ったことがきっかけでした。とは言っても、経験があるわけでもなく、海外での着物作りでしたので、不安がないわけではありませんでした。けれど、日に日に高まる想いと湧き出てくるアイデアにつき動かされ、えいやっ!と、まずは行動に移してみました。現地で手に入れた生地を、縫ったり、染めたり、刺繍したりして、完成した着物や帯はブログで発表しました。はじめは自分や友達用に作っていましたが、徐々に着物お仕立てのリクエストをいただくことが増え、数量限定で販売するようになりました。それがキモノモダンの原点ですね。
それにしても、なんでわざわざアメリカで着物作りだったかと言いますと、実は私、アメリカで暮らすようになるまで、「和」の文化に対してとても反発心があったんです。というのも、実家が日本舞踊の教室を営んでおり、生まれたときから着物を着る大人に囲まれ、三味線や黒田節が子守唄という世界に育ったため、年頃になるにつれその環境に飽き飽きしてしまい、「自分は和じゃない!」と、反動で外国語や海外の文化にばかり目を向けるようになったんです。ところが、実際に海外で生活してみると、日本人である自分自身がめちゃめちゃ「和」であることに気がついてしまいました(笑)それから急に「日本人」であることを意識し始め、自分のアイデンティティでもあり、知らず知らずに育まれていた日本文化への敬意や愛着を、どうにかして表現できないだろうかと考え、偶然「きもの」に辿り着きました。渡米前、子供の七五三の着物を手作りしたくて和装を習っていたことがあり、着物や帯を仕立てることはできました。でも、ありきたりな着物だったら私が作る意味がない!と、多少和装の細かいルールを飛び越えてしまったとしても、自分が可愛いな、着てみたいな、と思えるものを自由に作ることに決めました。その他に、「現地で手に入る生地を使うこと」、「真似をしないようによその着物屋さんのサイトは見ないこと」、「気軽に楽しめる素材や予算で作ること」をルールにしました。
ちなみに、当時一番苦労したことは、「着物に合う生地探し」でした。アメリカにはペラペラした薄手のものが多く、着物に適した程よい厚みの生地を見つけることが難しかったです。その分、「お、これは!」と思える生地を見つけたときには運命を感じました!生地によっては、お店にある分すべて私が買い占めちゃった…なんてことも(笑)
キモノは日本のワンピース
濱田さん:キモノモダンが目指すのは、着物初心者さんにとっての“入り口”のような存在になることです。せっかく着物に興味を持っても、値段が高くて手が出ない、着付けも手入れも大変そう…というイメージが強くて、なかなか最初の一歩を踏み出せない方が多いと思います。それって本当にもったいない!着物は日本伝統の衣服なだけあって、日本女性の体形にも合うし、美しさを引き立たせてくれる素敵なものなのです。そこで、キモノモダンでは着物のルールをもっとシンプルに捉え、例えばワンピースと置き換えて考えてみたらどうかなと思うんです。ワンピースは形が同じだとしても、木綿などナチュラル素材であれば「普段着」、サテンなど光沢のある上質な素材だと「よそ行き」という風に感覚的に使い分けますよね。着物もそれと同じように考えればいいんです!そう思えば、気持ちが軽くなって、ハードルもぐっと下がりますよね。このことを、もっと多くの方に伝えていきたいと考えています。
そんな普段着キモノをオススメする当店の、浴衣や木綿着物、デニム着物は、自宅で洗濯できる、着心地の良い生地にこだわっていることが大きな特徴です。洗濯機で洗える着物は、小さなお子さんがいるお母さんの強い味方です。チョコだらけのお手てだってもう怖くありません(笑)
生地にはそれぞれ特徴があります。例えば、今日安枝さんや私が着ている浴衣は、東レさんが開発したセオαという最新のポリエステル生地で作られています。しっとりさらっと肌触りが良く、薄手で涼しいので着ていて気持ち良いんです。しかも、嬉しいことに座りじわもつきにくく、洗って干したら2時間で乾く優れもの。でも、目新しさで選んだわけではなく、自分がしっかり納得できたので採用しました。数年前触った時はゴワゴワしていて微妙でしたが、今の質感はとってもいい感じです(笑)
また、アメリカ時代に作ったうちの定番商品「デニム着物」も、生地にはかなりのこだわりがあります。素材は、スーピマ綿という、繊維の長さが普通の綿の2倍もあり、絹のような光沢としなやかさ、そして高い耐久性が特徴です。栽培に特殊な気候を必要とするため、アメリカの非常に限られた地域でしか栽培されていないとても希少な品種なんです。デニム着物は私自身が着てみたかったので、スタッフにも協力してもらい、生地サンプルを作っては、触り心地や生地の重みを確認し、貪欲に改良を重ねました。その甲斐あって「これ本当にデニム生地?!」と驚かれるほど薄くて柔らかい、キモノモダンを代表する着物が誕生しました。他店の商品と比較した結果、その着心地の良さが決め手で購入される方も少なくありません。
世界の息吹を取り入れる
濱田さん:日本に帰国してまずびっくりしたことが、着物に適した生地が簡単に豊富に手に入ること!アメリカではとても苦労したので拍子抜けしちゃいますね(笑)それから、ネットでしか繋がっていなかったお客さんや作家さん、業者さんとリアルなコミュニケーションが取れるようになったことです。お客さんとはメールだけでなく、電話でご相談を受けることもできるようになりましたし、実店舗や催事でお会いすることもできるので、直接ふれあい、着物を楽しんでいらっしゃる様子を肌で感じられるのが新鮮ですね。私の場合、自分で着て悦に浸るのではなく、着ていただくのが好きなので、似合ってらっしゃると「うふ♥」って嬉しくなるんです。
でも、日本に拠点を移して良かったなと思う一方で、不便の無い環境、滞りなく進む着物製作に、なんだか物足りなさを感じる自分がいました。何か新しいことがしたい、珍しい生地や文化と出会いたい、日本にないものが見たい!という欲求がどんどん高まり、それと同時に、この欲求こそが「海外の息吹を和に」というキモノモダンの原点であり、私たちにしかできない着物作りなんだと最新認識しました。これまでに訪れた国はベトナム、韓国、タイ、マレーシアとアジアが多いですね。ベトナムに行ったときは、なんと1日で製作してくれるシルバーアクセサリーのお店があったので、持って行ったデザイン画をもとに、蓮の葉の帯留を作りました。現地でしか手に入らない生地やその国らしさがあふれるものを、どうやったらみなさんが着たいと思える、キモノモダン独自の商品にできるかと、あーでもないこーでもないと悩む時間も楽しいですね。
メーカー兼問屋という新たな挑戦
濱田さん:新たにチャレンジしたいことは、キモノモダンがメーカー兼問屋として、小売店である呉服屋さんへ商品を卸す、という取り組みです。つい最近、呉服屋の若手経営者さんたちと話しをする機会がありました。みなさん志が高く、熱い想いを持っていらっしゃるのですが、そんな彼らには「地方は昔ながらの問屋しか流通ルートがなく、最近のお客さんが望むような“今”の着物を扱うことができていない」という悩みがあることを知りました。それを聞いて「じゃぁうちがどんどん商品出しますよ!」と思わず言っていました。
キモノモダンは、私が着たいと思う着物を手作りしはじめことがスタートなので、自分がいいなと思えて、お客さんにオススメしたい着物を、作って販売することが当たり前でした。なので、呉服屋さんが、自分が良いと思う着物、お客さんに薦めたいと思う着物を取り扱えていない状況が残念で、うちの着物でよければ是非どうぞ!という思いに駆られました。うちのような普段着キモノが扱えるようになれば、呉服屋さんは“今”の着物を求める若い方や着物初心者さんをお客さんにできるチャンスが増えますし、各地にいらっしゃるうちのお客さんをその地域の呉服屋さんにご紹介しやすくなります。そして、キモノモダンを知っていただくチャンスも増える(笑)
そうすれば、商品もお客さんも行き交いが活発になり、呉服業界にも活気が戻るんじゃないかなと想像してワクワクしています。一人でも多くの方に、着物を着る喜びや楽しさを体感していただけるよう、キモノモダンがみなさんと着物が出逢う入口になれることを願っています。
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