早和果樹園

早和果樹園

神様のいるお店はこちら 果汁糖度は12度超え!美味しいみかんを味わい尽くせるお店。




糖度12度超えのとろける甘さ

「早和果樹園」は、日本最大のみかん産地である和歌山県において、有田みかんの栽培にはじまり、みかんを使った生絞りジュースやゼリー、ポン酢などの加工品製造から販売まで、自社で一貫して行っている農業生産法人。昭和54年に7戸のみかん専業農家からスタートした。お話を伺ったのは取締役専務の秋竹さん。早和果樹園のみかんの特徴は何と言ってもその高い糖度とコクのある味わい!収穫したてのみかんを頬張ると、とろけるような薄皮の中から、じゅわーっと口いっぱいに、コクのある甘酸っぱい果汁が溢れ出てきて、もう1個、もう1個と手が止まらなくなってしまう。また、生のみかんの美味しさをそのまま味わえる生絞りジュースや、果汁を惜しみなく使ったゼリーやポン酢も一度食べてファンになる人が続出。Eストアーネットショップ大賞の和歌山県金賞の他に、「第2回6次産業化推進シンポジウム」最高賞の農林水産大臣賞、内閣官房および農林水産省が選ぶ「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」など多くの受賞歴をもつ。





水分コントロールで美味しさを最大限に引き出す

さきほど畑でみかんを食べさせていただきましたが、果汁が多くて味が濃くて、すごく美味しかったです。

秋竹さん:和歌山の有田(ありだ)は昔からみかんの大産地として有名ですが、早和果樹園は昔ながらの栽培方法と、マルチ栽培というシートを使った水分コントロールの技術を駆使して、糖度が高くてコクのある美味しいみかん作りにこだわっています。
みかんの甘さは果実の水分量に左右されるので、青蜜柑が育ち始める7月頃、夏の日差しの下、畑にシートをかけて土壌が雨水を吸わないようにマルチ栽培を開始します。この時点で、果実の糖度は7度、酸味のクエン酸は4%ほど含まれています。そこから水分コントロールを行い乾燥と肥大をかけることで、糖度をぐーっと上げ、酸を減少させ、それが良い塩梅で着地するように育てています。そのために毎日水分量などを測って、「あ~今この辺まで来てる。もうちょっとだな。」って確認しています。乾燥しすぎると実が肥大せず、酸味が強いままになってしまうので、その時はマルチシートをめくって水を与え、ベストなサイズと味になるよう調整をします。そこにはやっぱり作り手の経験や技術が不可欠ですね。

ちなみに、美味しいみかんの見分け方をお教えしますと、まず私たちは樹を見ます。スーパーなんかでは実だけを見て判断するしかないんですが、樹を見るとある程度分かるんですよ。美味しいみかんの樹は、葉の色が深い緑で、収穫時の冬になると葉の厚みが薄くなって、縦にくるっと丸まるんですよ。葉っぱに元気がないのは、その分果実に栄養が行ってる証拠です。あと、果硬枝(かこうし)という果実のヘタに繋がる枝は細い方がよいですね。また、実のなっている枝はぴんと天に伸びてるのではなく、地面に向かって垂れ下がっているものが良いです。そして果実を見て、特におしりの部分が濃く色づいていて、皮が薄く、実が詰まってぱんと張っていたら、間違いなく美味しいですね。





記念すべき「味一しぼり」

生のみかんだけでなく、ジュースなどの加工品を自社で製造されていらっしゃいますがきっかけは何だったのでしょうか?

秋竹さん:生のみかんが毎年高く売れてくれればいいんですが、やはり天候の影響は受けてしまいますし、みかんの特性に1年ごとに収穫量が増える表年(おもてどし)と収穫量が減る裏年(うらどし)があるため、表年にあたると買いたたかれるなど、1年かけて丹精込めて育てたとしても、満足のいく値がつくとは限りません。10年程前には、何年も安値が続き、今年こそはと思った年にいくつもの台風に見舞われ、大半のみかんが傷みかんになってしまったことがありました。傷がつくと加工用に回すしかなく、さすがにその時は社長も畑で座り込んで途方に暮れていました。

加工用みかんはJAなどに買い取ってもらうんですが、すごく安い値段しかつかなくて利益にはなりません。でも、実は傷のあるみかんってめちゃくちゃ美味しいんですよ。果実表面の傷は、風傷といって風に揺られた葉と果実が擦れてできるものなので、それだけ風にあたる場所、つまりよく日光が当たる場所で育ったという証拠でもあるんです。だから11月の収穫時期に食べると、他のどのみかんよりも甘い。
当時、大量の傷みかんを見て、食べて美味しいんだから、そのままジュースにしても美味しいんちゃうか?と思って、まずは近所にあるしぼり屋さんに持っていくことにしました。試作とはいえせっかく作るならと、糖度12度以上のみかんを厳選しました。出来たジュースを市役所などで味見してもらったところ思いのほか好評で、それが自信につながり、加工品製造への第一歩となりました。このジュースには、味へのこだわりを込めて「味一しぼり」と名付けました。味わいは限りなく生のみかんに近く、その秘訣は「チョッパーパルパー方式」という、外皮をむいて、薄皮ごと裏ごしするように搾る方法にあります。皮ごと搾るインライン方式に比べてひと手間かかりますが、皮の油分や雑味が混ざらず、鮮度が長期間保たれるという利点があります。
ただ、当時は高級なみかんジュースがそんなになかったので価格面で販売に苦戦しましたが、飲めばわかる美味しさが徐々に認められて、2011年にANAの機内ドリンクに採用されたり、高級ホテルや百貨店で扱っていただけるほどの商品になりました。





「まずはやってみよう!」の精神

商品作りなど、貴社ならでは取り組みはございますか?

秋竹さん: 当社には、何か困難な壁が立ちはだかった時、新しい企画を生み出す時に「まずはやってみよう!」と前向きに、柔軟に取り組む文化があり、それが今まで成長をつづけてこられた理由かなと考えています。毎年のように新商品を発表し、商品ラインナップも充実して、順調にここまで来たと思う方がいるかもしれませんが、実は苦労の連続です。先ほどジュースの味一しぼりの話をしましたが、商品化した翌年、なんと早速糖度12度超えのジュース用みかんが採れない事態に陥りました。これは困ったぞと悩んだ結果、糖度を1度下げ、価格も抑えた「味まろしぼり」が誕生しました。またある時は「てまりみかん」という、3Sサイズの小さなみかんを丸ごとシロップ漬けにした商品の、肝心のみかんが採れない時期があり、その打開策として反対に大きな2Lサイズの「大てまりジュレ」というインパクト大の商品を販売したりしました。みかん作りは自然が相手の商売なので、常に予期せぬトラブルはあるものの、そこで諦めるのではなく「何かしらとっかかったら動き出す。まずはやってみよう!」と、その時できることからチャレンジして、困難を次のステップに変えてこられたのがよかったですね。

あとは、何はともあれ美味しいみかんとみかん果汁がうちの商品力の全てです。ジュレ、ジャム、ポン酢など果汁を使った商品が多くありますが、どの商品にも他の会社さんの比じゃない割合で果汁を配合しています。ジュースはもちろん100%、水を1滴も使っていないジュレには91%、ポン酢にも30%と、みかんの魅力を伝えたくて、これでもか!とたっぷり使用しています。美味しく食べて欲しいという生産者の想いをそのまま商品に込められるのは、みかん専業農家でもある当社ならではですね。





みかんの可能性を広げたい

新商品発売の予定や今後挑戦されたいことなどありましたら是非教えてください!

秋竹さん:引き続き美味しいみかんを作ることが第一ですが、それと並行して、みかんの可能性を広げていけるよう商品開発にも力を入れていきたいです。今は、捨てるしかなかったみかんの皮に着目し、東京の企業さんと手を組んで食品以外の新商品企画を行っているところです。そろそろみなさんにお披露目できる予定ですので楽しみに待っていてください!

当社としては、地元の有田でしっかりとみかん産業を底上げしていくことが使命だと考えています。生産者の高齢化や減少が進む中、ありがたいことに当社には農家の息子さんなど、新卒学生が毎年入社してくれています。その子たちにはゆくゆくは実家を継ぐか、永く早和果樹園のメンバーとして、質の高いみかん作りを継承していってほしいですね。高品質なみかんを作ってくれれば、それを早和果樹園が高値で買います。よいみかんが仕入れられればうちも嬉しいですし、高値で売ることができれば農家も利益が出て、次のみかんを作る体力が生まれ、元気な農家を増やしていけると信じています。 そんな我々の取り組みが、地元有田を盛り上げる底力になれれば嬉しいですね





神様のいるお店はこちら 果汁糖度は12度超え!美味しいみかんを味わい尽くせるお店。





キャラバン後記

このキャラバンは、商品への愛、商品への情熱、商品への拘りを取材しています。どうやら、魂がはいった商品を売っているお店には、やっぱり神様がいるなあと、感じないわけにはいきません。今回「みかポン」というみかんポン酢の瓶詰め工場も見学させていただいたのですが、そのとき秋竹さんが、製造過程で捨てている、果実を含んだ上澄み液を「味が濃くて美味しいな。ドレッシングとかにならんかな?」とスタッフの方と楽しそうに話していらっしゃった。その様子を見て、新商品誕生に期待すると共に、どんなときもアンテナを張って、新たなみかんの魅力を見つけようとされる姿勢に、きょうも学び満載の私たちでした。<安枝瞳、上甲、小山、石村>

トップページに戻る