左側には葡萄畑が、右側の木戸を抜けると趣のある日本庭園が広がり、訪れる人を心地よく迎えてくれる。標高680メートルの地にある、美しい自然に囲まれたワイン醸造所「マンズワイン小諸ワイナリー」の門を抜けると、美しい景色が姿を現します。
夏は存分に陽光が降り注ぎ、夜には冷たい冷気が降りる、日本屈指の葡萄栽培に適した長野県小諸市に、マンズワイン株式会社がワイナリーを構えたのは1973年のことでした。
「ヨーロッパのワイナリーでは、バラの花を植えたりして、庭師がまるでお城の庭園のような見事な景観を造り上げるんです。やがて一帯は、お城を意味する『シャトー』と呼ばれるようになり、人々が愛し、集う憩いの場となります。小諸ワイナリーには、『ここを日本のシャトーにしたい』との当社の思いが込められています」
(こう話すのは、マンズワインのネットショップ事業部担当・竹村重雄さん。)
葡萄畑で一心に作業しているのは、地元の契約農家の人たち。「日本の風土で育った葡萄だけを使って、世界に誇れるワインを作りたい」というマンズワインの熱い思いに共感し、ワインに最適な品種作りに知恵を絞り、技術を惜しみなく提供してくれるかけがえのないパートナーです。
(糖度の高い葡萄を作るため、1反あたりの収穫量を一般的な葡萄の5分の1程度と少量生産を貫き、さらに、悪天候で葡萄のできが悪い年には、最高級ワイン「ソラリス」は造らないという徹底ぶりです。
また、ワインに対する情熱が生み出した「マンズ・レインカット栽培法」は、雨の日に葡萄の垣根全体に覆いをかける防雨用ビニールを使った栽培法です。)
「降雨量が多い日本の葡萄産地は、従来、雨に打たれて果実が傷つくのを避けるため、完熟を待たずに収穫せざるを得ないのが宿命でした。このマンズ・レインカット栽培法は、熟度の高い葡萄が安定して収穫できる栽培法として、現在では多くの農家やワインメーカーで採用されています」
(小諸ワイナリーが誕生して35年。高い技術と品質へのこだわりから生まれるオリジナルワインは、毎年国内外のワインコンクールでも上位入賞の常連となるなど、名実ともに、日本のワイン文化が生まれ育つ場所に成長を遂げたといっても過言ではありません。)
(ネットショップ立ち上げのきっかけは、ワインの注文電話が相次いだことでした。)
「ワイナリーの売店では、一番人気のソラリスをはじめ、市場にはほとんど卸していないワインを販売しています。売店でワインを買ったお客様から、『近所のお店で手に入らないのなら、通信販売してほしい』との要望を受けるようになり、電話やFAXによる通信販売に対応するようにしました」
(その後、これほど需要があるのなら、ワイナリーを訪れた人からの受注を待つだけではなく、ネットショップを「開店」すれば、もっと積極的にお客様を開拓できるに違いないと、ネットショップ事業部の立ち上げを決定。ショップの店長として竹村さんに白羽の矢が立ちました。
それまでは広報担当と売店での接客を兼務していた竹村さん。ワインに対する理解と愛情が深く、その魅力を多くの人々にアピールしてきた実績を評価されての抜擢でしたが、ネットショップの担当を命じられたときは、かなり悩んだそうです。)
「ずっと直接対面する仕事だったので、人の顔が見えないネット通販は、何だか冷たい世界に思えて、正直なところ不安でしたね(笑)」
(マンズワイン社の関連会社が、Eストアーのサービスを使ってネット通販で成功していることを知った竹村さん。「それならわが社も」とショップサーブに申し込み、2005年3月にネットショップをオープンしました。)
「ネットの店長なんて務まるだろうか」という不安を抱えつつスタートしましたが、しばらくして、思わぬ手応えを感じ始めます。 「注文や質問メールの文面から、その人の嗜好や性格までわかるような気がします。そこで、こちらが心を込めて返信すると気持ちが伝わり、マンズワインのファンになっていただける。ネットを通じて、想像以上に人間味のある、生のやりとりができることに感激しました」
(仕事の土俵がネットショップに移っても、それまで自分が対面でやってきた仕事と、本質的に何も変わらない。それに気づいたとき、「遅ればせながら、自分が店長なんだという自覚が生まれました」と苦笑いする竹村さん。お店をもっと活性化させるため、経営に本腰を入れて、ショップ機能も充実させて・・・。そう考えていた頃、豊富なネットショップ運用機能がパッケージ化された「ショップサーブ」のサービス開始を知り、2006年4月にショップサーブへの乗り換えを決めました。
その後は楽しみながら、ショップサーブの多様なショップ機能をフル活用。メルマガやポイントカードを発行し、キャンペーンを開催するなど、お客様の心をつかむための多様なサービスに工夫を凝らしています。
さらに初の試みとして、ネットショップのお得意様だけを対象に、竹村さんが企画するイベントの参加者を募集。実際に小諸ワイナリーに足を運んでもらい、ワインが作られる現場を体感してもらおうという試みです。)
「当社の夢が詰まったワイナリーに、一人でも多くのお客様に足を運んでもらえれば嬉しいですね。実はその一心で、広報も接客も務めてきましたが、ネットショップがその大きな架け橋になるなんて、開店当初はまったく考えていませんでした」
(日本人が集い、心のふるさととして誇れるワイナリーを造りたい。竹村さん、そしてワイナリーに関わるすべての人々の思いは、ネットショップという大きな力を得て、豊かに実をならす葡萄のように、今、大きく結実しようとしています。)