「当時も今もプジョーの専門店は少ないんですよ。競合が少なければ、それだけマーケットを独占できる可能性も高いですからね。そこに商機があると思いました」
“強みを持つ”。ネットショップでも実店舗でも、ビジネスの基本は同じですね。
しかし、その専門性をアピールするため、積極的に自動車雑誌などを中心に広告を出しました。効果はあったのですが、1年経ってみると、かけた広告費は600万円近く。これは大きな負担でした。
1996年以降、日本でもインターネットが普及し始めると、常連さんのホームページで紹介されたことなどもあって、ネット経由の来店者が増加、新たPR戦略としてネット活用を重視していきました。
「ネットショップから実店舗への誘導だけでなく、実店舗で中古車を購入したお客様が、今度はネットショップでパーツを購入して、パーツを取り付けるためにまた来店してくれる。ネットショップと実店舗との相乗効果が高まる販売サイクルができあがりました」
ホームページをリニューアルし、事業内容や中古車、チューニングパーツなどの情報を紹介、プジョー製品の品ぞろえの良さをアピールすることで信頼も高まり、売り上げは着実に伸びました。このネット活用が功を奏し、宣伝・広告費を大幅に減らすことができました。
「プジョー専門店だから、クルマ雑誌がいちばん引きが強いだろうと安易に考えていたのが間違いでした。
今では、ネットとチラシなどの印刷物を含めても、宣伝・広告費は年間300万円程度です。ウチのような業態の場合、ネットショップは、通販サイトとしての役割もさることながら、広告・宣伝ツールとしての機能も重視すべきだと改めて思いましたね」
2004年、新規顧客の獲得ために、“本家サイト”とは別に、大手ショッピングモールにも出店しました。モールの集客力の高さを見込んでのいわば“支店出店”でした。 ところが、ネット販売のノウハウの蓄積とファンの獲得が進むにつれ、ショッピングモールの“支店”の役割に疑問を感じるようになりました。「ターゲットとなるプジョーファンは、日本で3万人程のマーケット。一般顧客層への訴求力が強いモールは、合わないのではないかと思い始めました」
小椋さんの予想どおり、ショッピングモールを利用するユーザーは、一般的に食料品などの日用品を求めるケースが多いといわれています。同店のターゲット層とは明らかに異なります。「モールの“集客力の強さ”にとらわれすぎました」と小椋さんが振り返るように、販売チャネルの絞り込みもネットショップ成功の重要なポイントなのです。
大手ショッピングモールからの撤退を決めたことで、本店ネットショップでは買い物機能を高めたり、サイト全体に統一性をもたせて体裁を整えるなど、利益性とデザイン性をより強化する必要が出てきました。そこでさまざまなサービスを比較・検討した結果がEストアーの「ショップサーブ」でした。
「まず、決め手となったのは、安心して使えるサーバー容量ですね。当店は、オリジナルのパーツ商品の製造・販売も行っており、サイトに掲載したいアイテム数は増える一方なんです。しかし、以前のショッピングモールではシステム上、サーバー容量に制約があって自由に構築ができなかった。その点、ショップサーブは3GBと容量には大満足です」
さらに、ショッピングカートの使いやすさや、充実したテンプレートなど、ネットショップ運営に必要な機能がワンパッケージでそろうのも導入のポイントになったといいます。
「初心者だけでなく、僕のようなWEBサイト作成の知識がある者にも、便利な機能がそろっているので助かります」
2006年5月にショップサーブに切り替えてリニューアルオープンした後も、ネットショップでの売り上げは、以前と変わらず好調を維持しています。
大手ショッピングモールでの失敗という苦い経験もしながら、自店の“強み”を認識し、全国のプジョーオーナーの信頼を集めています。