<手間の軽減から始めたネットショップが「なくてはならないもの」へ>
ネットショップを始めたきっかけは、チラシ作りが面倒くさかったから。もともと、新聞に折り込み広告を入れたり、お中元やお歳暮の時期に合わせてダイレクトメールを送ったりという販促活動をしていたのですが、店をやりながら販促物を作るのがとても手間だったんですよ。数十を超える商品の撮影から始まり、値段の確認、色味の調整などを行うと、その業務だけで手一杯。そこで、まずはホームページを設立してみました。最初はカートを設けず、欲しい商品をメールから注文してもらうだけのホームページでした。今考えると、すごく簡易なホームページで(笑)。それでも、メールでの注文が一定量入るなど、立ち上げてすぐに『ネットで売ることの手応え』は感じましたね。
ホームページを立ち上げてから、ネットに手応えは感じたものの、『商品をおすすめできない』ということに違和感がありました。来店してくれたお客さんや電話で注文をしてくださるお客さんだと、『ワインが欲しい』と言われれば『甘いと辛いのだと、どっちをすすめるべきか』という勘が働くのですが、メールだと相手や相手の趣味趣向が見えないので、最初は戸惑いましたね。続けていくうちに、メールだけでなくカートを導入して、おすすめ品などをこちらから伝えてみてはどうかと考えるようになったんです。
ネットショップを立ち上げることを決めてから、自社のホームページにネットショップを置くだけでなく、モールへの出店も行いました。しかし、小売りという商売の特性上、1商品あたりの粗利が少ないという問題がありました。モールへ出店すると、少ない利益の中からキックマージンが差し引かれる。あまり手広くやりすぎると商売が逆に苦しくなるということもあり、モールへの積極的な出店は控えるようになりました。一方、自社サイトにカート機能を付けるEストアーだと、初期費用や月額コストも安く、うちの業態にはぴったりでしたね。
Eストアーを選んだもう一つの理由が、使い勝手の良さ。新入荷やおすすめ品などの情報の記載や、TOP10などの表示方法の選択などのメニュー系統がわかりやすかったです。他のサービスだとどこにあるのか分からなかったり、操作が分かりにくかったりして時間がかかってしまうこともあったので、よく使うものが分かりやすく配置されているという操作性の良さが気に入りました。
ネットショップを立ち上げてから変わったのは、新規のお客さんが増えたこと。今はチラシによる販促は行っていないものの、ネットからの注文だけにとどまらず、ネットでご覧になった方が店へ来店してくれるようになりました。また、チラシだと多いときで200万円もかかっていた販促費が、ネットに移行することで数万円になったこともうれしかったですね。現在は既存のお客さんも、サイトをチェックして入荷状況を確認してくれているようです。今やネットショップは、店にとってなくてはならないものになりました。
私がネットショップを運営して分かったことは、ショップを立ち上げるからといって、普段と違ったことをする必要はないということです。実店舗と同じように、店のシャッターを開けて店内を掃除して、ポストの手紙を確認して、黒板に今日のメニューやお客さんへのひと言を書く。それと全く同じことを、ネット上ですればいいだけなんです。ネットショップに対して難しそうと感じている人は、まずは店のシャッターを開けるところから気軽に始めてみるといいのではないでしょうか。